2024年4月15日月曜日

能登半島地震被災地支援に関する報告(ペット:前編)

 代表渡辺は、2月10日~18日、3月15日~24日、能登半島地震被災地支援活動を行った来ました。

今回は人間支援、ペット関係支援、両者を行ってきています。人間支援の中には、子供支援、炊き出し、倒壊家屋の片づけ、支援物資運搬、介護関係施設支援、ペット関係は、避難所での様子、在宅避難者でペット飼育者への物資支援、運搬、飼育相談カウンセリング、今回石川県の行政代表として動いているジャパンレスキュー、ピースウインズ・ジャパンからのヒアリングを行ってきました。

色々なNPO団体、日本財団の方々の協力、またペット関係はCDCA,しっぽ村の方々とも連携をし、情報交換、収集を行いながら活動してきました。

今回の災害は、いろいろな問題点が浮き彫りとなり、実際被災者からの生の声が非常に多く、復興がなぜ進まないのかが、実際の活動で手に取るように分かったのです。

今回内容がかなり濃いため、ペット部門の案件のみを投稿したいと思います。

ペットに関する詳細に関しては、講演会などでお伝えしたいと思っています。

BOW・WANボランテイアは全て無償で行い、寄付などは募っていませんので、今までの代表渡辺の被災地活動も全て自分からの捻出となっています。


「ペット編:前編」


2月に七尾市での活動中、猫飼育に関しての相談がありました。

「家族と同居中に被災。飼育していた猫が外へ出てしまった。

2週間ほどして家に戻ってきたが、肩にひどい傷を負っていた。今は病院へ入院中。家は広域半壊のため戻れず、現在就業している施設から仕事へ行っている。

入院している病院の獣医さんは落ち着くまで預かってくれると行っているが、狭いケージに入れられてかわいそうだから何とかしたい。」という案件

まず現在までの猫の飼育方法について聞き取り、問題点を抽出し、猫という動物についてお話。猫にとってどのような環境が望ましいのかを提案。その家族にとってやりやすい方法を一緒に考えました。

その猫の飼い主さんは「とにかく今狭いところで可哀そうだから早く迎えに行きたい」との一転張り。そこで私はその方にお聞きしました。「猫を連れて帰ることはできても、その猫とあなたが安心して暮らせるところはありますか?」と。

ボランテイアに一時的に預かってもらう案も頭に浮かびましたが、その飼い主さんとお話している中で「自分のもとに置いておきたい」という気持ちが非常に強く、預けたとしてもきっと落ち着かないだろうと判断。お話はしませんでした。

まずその猫の傷が良くなるまでは、病院で管理していた方が安心であること。

「安心して暮らせる場所を探すこと」が最優先。猫の傷が良くなってから猫を引き取ること。

そして外へ出た経験のある猫を、室内飼いに慣らしていく環境を整え、準備すること。詳細は省きますがその話をじっくりとお伝えしました。

地域性もありますが「猫は外へ行くのが当たり前」となっている習慣をいかにそうではないこと、リスクがどれだけ大きいかということをじっくりとお伝えしていくことは本当にエネルギーを吸い取られます。

これは被災している被災していない以前の問題なのです。

3月に訪問したときには猫を引き取り、実家に連れてきていました。

まだ引き取る環境ではなかったのですが、(半壊した家は再建中のためいつでも外へ出てしまう環境でした)飼い主さんの「かわいそう」の気持ちが非常に強く連れてきてしまっていたのです。ただ一つだけ進展はありました。新しくその方と、猫の住む家は見つかり、引っ越す予定にはなっていました。そこに至るまで、私は2月の活動終了後も何度か連絡を取り合って進捗状況を支援してきました。しかし、獣医さんから今の家に連れてくるときの移動手段が非常に良くなく(車の中で自由にさせ、道路事情が非常に悪い中での移動を経験させてしまった)、猫が今までの様子と明らかに違うということを今度は心配されていたのです。

猫の様子を見る限り、身体的に問題なく、受傷した傷もすっかり良くなり、あとは、今環境に慣れていくことだなあと(今まで安心するケージに居たのに急に自由に解き放されて、それも倒壊した環境の違うところに放り出されたのですから、非常に警戒心があったのです)判断したのですが、飼い主さん側はそれでは満足しなかったのです。今まで猫と離れていたその心のすき間、寂しさを猫に求め始めていました。「今までこうだったのに、こうしてくれない」「やはりあんな狭いところに入れていたからこうなったんだ」など、私に不安をぶつけてきました。私は一つ一つ傾聴しながら、猫の気持ちをお伝えしていくと、落ち着かれてきました。そして今後の新たな家まで行く道のりの移動方法のために、今から飼育している猫に教えていく内容、飼い主さんのかかわり方などをお伝えしました。堅苦しく聞こえるかもしれないのですが、実はこれを行うことが両者にとってとても安心して生活をしていかれることであることをお伝えしました。

ペット後編にも出てきますが今回フードなどのご支援をいただいた「しっぽ村」さんのご協力もあり、その方にもフード、おやつの支援をお届けしました。

物資の支援を行うことによって、少しでも経済的な部分で精神的な安楽が提供できればと考えました。3月の活動が終了した後も何度か連絡を取りました。

2週間経過して、やっと今まで通りの猫の様子に戻ったとの報告がありました。

その後、元気な猫の写真も送られ、飼い主さんも元気になりつつあります。

今後も訪問時にfollowを継続していきたいと考えています。

今回は受傷してしまったこともあり、病院での預かりになりましたが、預かりに関して弊害もあることを感じました。ましてや違う県に連れていかれることで、気候も異なり、また戻ることでストレスがどれだけかかるのか?また飼育者の復興への士気が低下する場面も今回のことではありませんが、目にしてきました。身近に「この子がいる、この子のために頑張ろう」と一緒に生活していらっしゃる方も見てきたのです。簡単に預かりを宣伝することは色々な面で非常に危惧することであり、本当の支援とは発災直後ではなく、これからなのです。

後編に続きます。










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