2024年4月18日木曜日

 










能登半島地震支援活動案件 :(ペット後編)

2月10日~2月19日、3月15日~24日の活動の中の報告です。

 

2月の活動時のことです。ある町の指定避難所の駐車場で(個人情報となるので詳細は省略)

車中泊避難をされている方がいらっしゃることを、行政の方よりお聞きしました。

その車中に猫12匹と一緒に居ると。いろいろな方が説得しても車中泊をあきらめない。

この避難所には猫用と犬用のトレーラーハウスが設置されていましたが、利用したくない。

駐車場外の空き地にテント泊でもよいからとの提案をしましたがそれも受け入れず。

そこへ訪ねてみました。

猫たちは車の中で日向ぼっこをしていました。飼い主の言い分は「エコノミークラス症候群を心配して言ってくるのはありがたいけれど、私はこの車で会社へ行っている。動いているから大丈夫だと。私は「猫は運動させているの?」と聞いたところ返事はなし。

専門のところに預けることを提案したが、「離れたくない」とのこと。

3月に入り、同じところを訪ねてみると、まだいらっしゃいました。

話は前後しますが、在宅避難者の方々に物資が渡っていないことを2月終了の時期に把握していたため、3月は在宅避難者の方々への物資配布、およびペット飼育者に関する情報収集を中心としての活動を予定していたため、今まで多くの被災地に支援に入っている団体、そして今まで被災地で一緒に活動してきたこともあり、お尋ねし、その団体より物資を分けていただいたり、情報を提供していただきました。「しっぽ村」さんhttps://wannyan.jimdofree.com/、「CDCA」さん//cdca.jp/index.html、本当にありがとうございました。

今回その車中泊の猫飼育の方にも支援物資をお届けしました。その時はもう「移動しましょう」などの言葉はかけず、猫の状態や、飼い主さんの体の状態をお聞きし、支援物資を

お渡ししたところ、やはり車中泊の方も避難所からの支援物資は無く、個人のボランテイアさんより猫エサなど分けてもらっていたとのこと。そして朗報が!「4月には仮設住宅に入れることになったんです」と嬉しそうにおっしゃっていたのです。私は飛び上がるほどうれしく、「もう少し、頑張りましょうね」と声をかけると、初めて笑みを浮かべていただけました。

3か月、本当に頑張った!車中は毛だらけ、シートもボロボロになっていました。

猫もやっと上下の運動ができるのです。飼い主さんも頑張ったけれど、猫も頑張った!

3月の活動では、在宅避難の猫飼育者の方に送っていただいた支援物資を各戸に配布しました。とても喜ばれ、猫の相談も受けました。

穴水町さわやか交流館プルートではここの副所長さんがペット飼育をされており、今も一緒に出勤しているとのこと。実際ペットの支援に対して、同業のスタッフ間でもペットの管理に対しての意見が分かれることもあったのと事。しかしここは人間もペットも支援ではほかに比べて、行き届いている場所であることを感じましたが、実際ペットの姿はありませんでした。輪島の方では校舎の外の屋根があるところに、つながれている犬が2匹見かけました。1匹は不安のためか吠えが頻繁に聞かれました。普段から外犬ということ。

もう一つの避難所では鳥が校舎の廊下に置かれていたり、避難所内の部屋を自由にしているトイプードル、ダックスなどがいましたが、これは単に周囲の理解があり、施設の考え方があるのかと思いました。たまたま少ない頭数であったためにこれが実現できたのだと感じました。(あくまでも例外)

今回ペットに関しては情報が本当に上がってきません。今までの被災地にはなかったことでした。あくまでの石川県の獣医師会、石川ドッグレスキューが主導となり動いているようです。

獣医師会も各地域の獣医さんたちが、治療、預かりを行っているようです。

近い場所での預かりならば、会いに行くこともできます。しかし発災2日から人間の行方不明者が多数いる中で、県外の団体が大々的に預かりの広告を発信する行為に心が痛みました。

緊急車両優先の時期に平気でペットを受け取りに行く行為がどれだけ、後から周囲の批判をあび、同行避難を拒否される原因になるか?

環境も変わり、飼い主さんも心配だから会いに行くこともスムーズにできない。

ペットを災害時に受け入れてもらえるためには、日ごろからの行動、活動が大きな要となるのです。

他に避難所近辺での預かりを主導しているのは日本ドッグレスキューwww.japan-rescue.com、ピースウインズ・ジャパン//peace-winds.org、石川県と一緒に動いている方々とも珠洲市の飯田公民館にてお話を伺ってきました。

2007年にも能登半島地震が起きました。この時の被災動物救護活動についての記事を読み返して、いったいその17年前から何か変化したことはあったのだろうか?と今回の活動を通して疑問に感じました。17年前の災害時の問題を教訓にして変化していることはあったのだろうか?と。

確かに獣医師会は早くに動き出しました。さて皆さんの地域はどうなるでしょう?

獣医師会が何とかしてくれる?預かってもらえるとそうでしょうか?今は何事も起きていないから、他人任せになります。獣医師さんのところが被災したら?預かり先が被災居したら?

そこを考えてみてください。まずは今住んでいるところから考えてみましょう。自分たちの力で、日ごろから話し合い、避難所としてどのような運営をしていくのか?

災害が起きてからは人命優先です。そこで泣いてわめいても何も始まらないのです。たくさんこのような事例を見てきたからこそ、言えることなのです。

宜しくお願いいたします。

2024年4月15日月曜日

今年度の予定

 令和6年度、BOW・WANボランテイア「災害時ペットと同行避難」に関する依頼予定をお知らせいたします。

以前からお伝えしていますが、「15分で4回話してほしい」「やりました」的な依頼は申し訳ありませんがお受けできません。

これは継続していかなければ、なかなか上手く実行できないのです。

人間の防災訓練を毎年行うのであれば、ぜひペットの訓練も行ってほしい世の中に変化してほしいです。

代表がお伝えしていることは「同行避難」の実現に向けてのまだ準備段階のお話なのです。

短時間でお伝えすることは非常に無理があります。

講演に関しては最低1時間~であり、定期的な勉強会開催、防災訓練時実際体験を行うことをお勧めします。

「ペットと同行避難、同伴避難」に協力していただけるボランテイアスタッフを募集しています。

防災士、ペットに関心のある方、防災について関心のある方、住みやすい街づくりに関心のある方など多職種連携で「災害に備えて」一緒に活動しませんか?その時になってでは何もできません。

発災してから行動はできません。後悔しない。大切な家族ならば、真剣に考える必要があります。人任せにせず、飼い主さん、自治会が一体となって、発災してからのトラブルにならないよるうに、「備えよ、常に」です。


6月11日(火 )10:00~12:00 坂本町防災勉強会

10月20日(日)10:00~      葉山町防災訓練:一色小学校

11月9日(土)10:00~       三浦市合同防災訓練:初声小学校

11月17日(日)10:00~      大楠小学校防災訓練




能登半島地震被災地支援に関する報告(ペット:前編)

 代表渡辺は、2月10日~18日、3月15日~24日、能登半島地震被災地支援活動を行いました。

今回は人間支援、ペット関係支援、両者を行ってきています。人間支援の中には、子供支援、炊き出し、倒壊家屋の片づけ、支援物資運搬、介護関係施設支援、ペット関係は、避難所での様子、在宅避難者でペット飼育者への物資支援、運搬、飼育相談カウンセリング、今回石川県の行政代表として動いているジャパンレスキュー、ピースウインズ・ジャパンからのヒアリングを行ってきました。

色々なNPO団体、日本財団の方々の協力、またペット関係はCDCA,しっぽ村の方々とも連携をし、情報交換、収集を行いながら活動してきました。

今回の災害は、いろいろな問題点が浮き彫りとなり、実際被災者からの生の声が非常に多く、復興がなぜ進まないのかが、実際の活動で手に取るように分かったのです。

今回内容がかなり濃いため、ペット部門の案件のみを投稿したいと思います。

ペットに関する詳細に関しては、講演会などでお伝えしたいと思っています。

BOW・WANボランテイアは全て無償で行い、寄付などは募っていませんので、今までの代表渡辺の被災地活動も全て自分からの捻出となっています。


「ペット編:前編」


2月に七尾市での活動中、猫飼育に関しての相談がありました。

「家族と同居中に被災。飼育していた猫が外へ出てしまった。

2週間ほどして家に戻ってきたが、肩にひどい傷を負っていた。今は病院へ入院中。家は広域半壊のため戻れず、現在就業している施設から仕事へ行っている。

入院している病院の獣医さんは落ち着くまで預かってくれると行っているが、狭いケージに入れられてかわいそうだから何とかしたい。」という案件

まず現在までの猫の飼育方法について聞き取り、問題点を抽出し、猫という動物についてお話。猫にとってどのような環境が望ましいのかを提案。その家族にとってやりやすい方法を一緒に考えました。

その猫の飼い主さんは「とにかく今狭いところで可哀そうだから早く迎えに行きたい」との一転張り。そこで私はその方にお聞きしました。「猫を連れて帰ることはできても、その猫とあなたが安心して暮らせるところはありますか?」と。

ボランテイアに一時的に預かってもらう案も頭に浮かびましたが、その飼い主さんとお話している中で「自分のもとに置いておきたい」という気持ちが非常に強く、預けたとしてもきっと落ち着かないだろうと判断。お話はしませんでした。

まずその猫の傷が良くなるまでは、病院で管理していた方が安心であること。

「安心して暮らせる場所を探すこと」が最優先。猫の傷が良くなってから猫を引き取ること。

そして外へ出た経験のある猫を、室内飼いに慣らしていく環境を整え、準備すること。詳細は省きますがその話をじっくりとお伝えしました。

地域性もありますが「猫は外へ行くのが当たり前」となっている習慣をいかにそうではないこと、リスクがどれだけ大きいかということをじっくりとお伝えしていくことは本当にエネルギーを吸い取られます。

これは被災している被災していない以前の問題なのです。

3月に訪問したときには猫を引き取り、実家に連れてきていました。

まだ引き取る環境ではなかったのですが、(半壊した家は再建中のためいつでも外へ出てしまう環境でした)飼い主さんの「かわいそう」の気持ちが非常に強く連れてきてしまっていたのです。ただ一つだけ進展はありました。新しくその方と、猫の住む家は見つかり、引っ越す予定にはなっていました。そこに至るまで、私は2月の活動終了後も何度か連絡を取り合って進捗状況を支援してきました。しかし、獣医さんから今の家に連れてくるときの移動手段が非常に良くなく(車の中で自由にさせ、道路事情が非常に悪い中での移動を経験させてしまった)、猫が今までの様子と明らかに違うということを今度は心配されていたのです。

猫の様子を見る限り、身体的に問題なく、受傷した傷もすっかり良くなり、あとは、今環境に慣れていくことだなあと(今まで安心するケージに居たのに急に自由に解き放されて、それも倒壊した環境の違うところに放り出されたのですから、非常に警戒心があったのです)判断したのですが、飼い主さん側はそれでは満足しなかったのです。今まで猫と離れていたその心のすき間、寂しさを猫に求め始めていました。「今までこうだったのに、こうしてくれない」「やはりあんな狭いところに入れていたからこうなったんだ」など、私に不安をぶつけてきました。私は一つ一つ傾聴しながら、猫の気持ちをお伝えしていくと、落ち着かれてきました。そして今後の新たな家まで行く道のりの移動方法のために、今から飼育している猫に教えていく内容、飼い主さんのかかわり方などをお伝えしました。堅苦しく聞こえるかもしれないのですが、実はこれを行うことが両者にとってとても安心して生活をしていかれることであることをお伝えしました。

ペット後編にも出てきますが今回フードなどのご支援をいただいた「しっぽ村」さんのご協力もあり、その方にもフード、おやつの支援をお届けしました。

物資の支援を行うことによって、少しでも経済的な部分で精神的な安楽が提供できればと考えました。3月の活動が終了した後も何度か連絡を取りました。

2週間経過して、やっと今まで通りの猫の様子に戻ったとの報告がありました。

その後、元気な猫の写真も送られ、飼い主さんも元気になりつつあります。

今後も訪問時にfollowを継続していきたいと考えています。

今回は受傷してしまったこともあり、病院での預かりになりましたが、預かりに関して弊害もあることを感じました。ましてや違う県に連れていかれることで、気候も異なり、また戻ることでストレスがどれだけかかるのか?また飼育者の復興への士気が低下する場面も今回のことではありませんが、目にしてきました。身近に「この子がいる、この子のために頑張ろう」と一緒に生活していらっしゃる方も見てきたのです。簡単に預かりを宣伝することは色々な面で非常に危惧することであり、本当の支援とは発災直後ではなく、これからなのです。

後編に続きます。